洋裁CADでは座標や数値、計算式を使って線を描いていきます。
開発者さんは、もともと一般的なCADを利用されているエンジニアなので、
基本的な数学や、ある程度の用語が分かっている方向けに
ソフト、サイトを作られている感じがします。
洋裁をやっている方の中には、
数学もう忘れた!全然わからん!!という方もいると思うのですが、
基礎的なCADや数学の知識ないままに洋裁CADに触れると
おそらくパニックになるので、ちょっとだけ予習しましょう!
洋裁CADの単位はmm !
パターンの教科書は cm で書いてあることが多いですよね。
バストやウエストなどのサイズも普通は cm で測ると思います。
洋裁CADはすべて mm を使うので、忘れずにすべての数字を10倍します!
例:80cm→800mm
Xが横、Yが縦
中学生の数学で『直交座標』というのを習ったと思います。
比例とか反比例とか、放物線とか…聞き覚え、ありますよね?
(一部の人には嫌な記憶…?)
洋裁CADではこの直交座標を使いますよ。
横軸がX軸で、右に行くほど数が大きくなり、
縦軸がY軸で、上に行くほど数が大きくなります。
横軸と縦軸の交わるところが『原点』で
x も y も 0 になる位置です。(X,Y)=(0,0)ってやつですね。
どっちがどっち?ってなった時には、
Yの書き方を思い出すと良いです。最後に縦線を書く→縦って覚えましょう。
角度は3時から始まり反時計回りに一周する
洋裁CADでは、
『原点』から『70mm』の線を『30°』方向に引く
のように角度で指示をすることもあります。
角度についてもおさらいしておきましょう。
時計で言う3時が『0°』で、半時計回りに大きくなり、
360度でまた3時に戻ってきます。
時計回りだと小さくなっていきます。
真上を表したい場合は、90°といっても-270°と言っても良いです。
同じことです。
下のように、黒い線から135°の赤い線を描きたい場合は
角度=135° ではなく、0° から数えた『45°』を指定する必要があります。
初めてだと戸惑うかも知れませんが、
すぐ慣れるので大丈夫です!!!
X,Yを忘れない、というのが洋裁CADを使う上では
とっても大切です!
洋裁CADは図面でなく手順書を作るCAD
洋裁CADは、コンピューターに図面の書き方を教えて、
その手順通りに図面を描いてもらうCADです。
洋裁CADでは、それ以上分割できない一つ一つの手順を『要素』と言います。
点や線などの目に見えるパーツだけでなく、計算値なども『要素』です。
要素は後で変更したり消したり、順番を入れ替えたりすることができます。
また、新しい要素を作る際に、既存の要素を引用することもできます。
このとき、引用された要素を『親』、使う要素を『子』と言い、
『親』を変更すると『子』はそれに追従します。
イメージで言うと、
A = 5 ←要素1
B = 3 + A ←要素2(要素1の子)
って感じです。要素2は要素1が編集されると変化していきますよね。
(例えば A=5 なら、B=8 だけど、A=10 になれば B=13 になるように。)
完全な余談ですが、エンジニアが
『なんかおかしいと思ったら親が死んでたわ』
『親の前に子を殺さないと』
みたいな物騒な話をしていたら、たぶんこの『親子関係』のことで、
無効にする/なることを『死』と言っています。
外出中に食事をする際に時々こういう話が出てきて、
周りのお客さんの目が気になるハナタロウです…。
(なぜ技術者たちは物騒な用語が好きなんだろう…?)
洋裁CADではこの「要素」をたくさん作って、
コンピューターが要素を上から順に処理していきます。
たとえば、
要素1:点1 (X,Y)=(0,0)の位置に点を置く
要素2:線1 点1から0度方向に50mmの線を引く
要素3:線2 線1の終点から90度方向に50mmの線を引く
要素4:線3 線2の終点から180度方向に50mmの線を引く
要素5:線4 線4の終点と線1の始点をつなぐ線を引く
こんな感じで指示を出すと、
50mm×50mmの正方形が出来上がるわけです。
次回は簡単な絵を描いてみます。
お付き合いありがとうございました。