ハナタロウの手仕事日和

娘のために作る子供服と小物

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男性育休について思うこと

※今日は手芸の話題はありません。

 

twitterでも言及したのですが、フィフィさんが男性の産育休についてこんなtweetをされていました。

 
これに対して主に女性・母親から、賛同の意見が多数寄せられていました。「足手まとい」で「素人」の夫と育児をするくらいなら、ガッツリ稼いでもらって「プロ」と子育てをしたい、と。
こう言いたい気持ちは分からなくもありません。実際に育児の負担は母親に偏っており、夫は「手伝い」しかしない、そういう話はネットでも、リアルでもそこら中から聞こえてきます。ただ、そういう現実を変えるために「男性の産休・育休」を推進しようと今しているのではないのでしょうか。どうせやっても出来ないのだから、とやる前から父親を育児の場から締め出そうとするのは、某医大で女子受験者を一律減点していたのと同じ構造に見えます。

 

我が家の場合

うちの夫は約6カ月の育休を取りました。男性で育休を取得する人は全体の7~8%程度しかおらず、そのうちの殆どが1週間未満なことを考えると、うちの夫はそこそこレアな存在なのでしょう。
我が家の場合はそれに加えて、妻(私)が育休を取得していません。産休のみでフルタイムの仕事に復帰し、生後3か月からは夫が一人で日中のお世話をしていました。夫婦で育休、はちらほら聞きますが、「夫だけ育休」は珍しいのではないでしょうか。
更にレアなポイントとして、夫は育休を望んで取ったわけではないのです。多くの男性がおそらくそうであるように、夫は「子供がいた方が楽しそうだし、2、3人くらい欲しいな」と呑気に考えていました。自分が世話をするなんてことは微塵も考えておらず、子育てって母親がするんじゃないの?みんなしてるし、自分は仕事があるし…という無責任父親まっしぐらの思想を持った人でした。

 

そんな父親がなぜ育休を取ったのか

夫は家事がほぼ出来ませんでした。就職してから一人暮らしを数年していましたが、食事はコンビニか社食や外食。掃除はほぼしない。服は最低限しか持っておらず、干して乾いたものから着るのでたたまず(制服は職場でクリーニングしてくれる職場で良かった。)お風呂もシャワーだけなので滅多に洗わない。
結婚後も家事はあまり出来るようになりませんでした。私も仕事をしているので、夫に家事を教えるのが面倒で「自分でやった方が早い」と一人でやってしまっていたのです。夫が担当していたのは、時々床に掃除機をかける、ごみを捨てに行く、くらいでした。
私は幼少期から母の手伝いとして家事を一通りやっていましたし、料理も好きで家事があまり苦にならないタイプだったので、そのことについて特に不満はありませんでした。PCやインターネットの設定や家電の選定など、夫は得意なことは率先してやってくれる人なので適材適所で役割分担だな、と思っていました。

そんな中、学生時代の友人や夫の会社の同僚も子供を持つ人が増え始め、夫も「そろそろ子供が欲しい」と話すようになりました。うちは夫婦でエンジニアなのですが、職場の同僚はほぼ(95%以上)男性です。ほんのわずかな女性の内、多くは事務の派遣さんか、総務や経理など非エンジニア職の人で、子供がいる方はもれなく育休を1年以上取得し、その後は時短勤務をして出世などしない、という一般的な女性が陥るマミトラを走っていました。
私にはエンジニアとしてバリバリ働きたい!という想いがあり、マミトラは絶対に避けたいと考えていました。そこで夫に条件を出したのです。「子供を産んでも良いけど、夫君が育休取って責任持って子育てするならね」と。
夫からすると青天の霹靂だったと思います。職場で男性が長期育休を取った例もなければ、産休だけで復帰する女性も見たことがない!
色々と迷ったとは思いますが、最終的には「自分が育休を取るから、子供が欲しい」と決断したのです。

 

妊娠中の暮らし

子供を作ると決めてから数年かかりましたが、運よく子供を授かることができました。その間、夫がぶれないように、「今子供が出来たら育休は〇月からだね」などの話はずっとし続けていました。
妊婦になった私はとにかく眠くて、仕事から帰るとずっと寝ていました。家事もろくに出来ず、食事の準備もできず、家の中は少しずつ荒れていきました。妊娠4か月の時に切迫流産(流産しそうな状態)になり、明日から1カ月ベッドで寝て過ごすように、と言い渡されました。当然仕事は休みました。
その頃の夫は通常通り仕事には行っていましたが、「連絡くれたらすぐ帰るから、いつでも呼んでくれ」と言っていました。
そして夫は「CookDo」や「うちのごはん」、「お味噌汁の元」など、料理の元を大量に買い込んできて、毎日パッケージの説明文とにらめっこしながら料理をしてくれました。私は料理が出来るゆえにそういった「○○の元」をあまり使ったことがなかったので、逆に新鮮な体験が出来ました。夫は本当に料理の経験値が低かったので、初めの頃はこの野菜はどうやって洗うの?どこまで食べられる?と聞きに来ることもしばしばでした。私がハウスダストのアレルギーなので、掃除機も頻繁にかけるようになりました。仕事をしながら慣れない家事をするのは、とてもとても大変だったと思いますが、子供が無事に産まれることを願って必死だったと思います。
5か月に入ると私の体調も落ち着き、日常を取り戻すことが出来ました。私が倒れたら家が回らないことを二人して痛感したので、少しずつ家事を一緒にやっていくことにしました。

 

育休取得に向けて

夫は初めから育休を取ることを決めていたので、「子供が出来ました。予定日がいつ頃で、〇月から半年育休を取ります」と上司に宣言しました。”相談”ではありません。決定事項ですから。「え?育休?半年?奥さんは?」とお決まりのくだりがあったようですが、夫は妻に「育休を取ること」を条件に子供を産んでもらう身です。「育休を取らないという選択肢はありません」と強行突破する道しかなかったのです。
長期育休を取って出世している人どころか、長期育休を取った先輩すらいない環境です。今後のキャリアがどうなってしまうのか、不安はかなりあったと思います。私が感じていた「マミトラに乗りたくない」をここにきて実感したのではないでしょうか。

夫の仕事は専門性が高く、一人減ったから一人補充すれば良いというような替えのきくものではありません。そうすると当然職場は困ります。しかし育休の場合は申告から取得まで半年もあるのです。退職する人が約1カ月ほどで引継ぎをすることを考えると、十分すぎる引継ぎ期間が取れます。結果として夫は、育休を取ることを見越して早い段階から仕事を自動化したり、引継ぎ資料をまとめたりなど、職場への迷惑を最低限に留めるように努め、育休に入ることが出来ました。

 

出産~退院まで

私たち夫婦は同郷で実家同士は近いのですが、今住んでいる地域から実家までは1000km近く離れています。夫がメインで子育てすると決めていたので、当然里帰りはしませんでした。母も義母も「夫君にやらせるより、家事も出来て育児経験のある私たちのそばで育児をした方が絶対いいよ!」と帰ってくるように勧めてくれましたが、「里帰り後は結局夫婦での子育てがずっと続くんだから、最初から二人で慣れた方が良い」と断りました。

陣痛が始まったのは22時過ぎくらいだったと思いますが、夫はその時点で「明日休みます」と上司に連絡し、一緒に病院に向かいました。なかなかすんなりとは進まず、産まれたのは翌日の夕方18時半ごろ…。二人とも徹夜状態だったのでふらふらでした。体重測定などが終わって、しばらくは家族で過ごさせてもらい、写真を撮って実家に報告したりしました。
翌朝から母子同室になり、面会時間になると夫もやってきて3人で過ごしました。ミルクの作り方、与え方、おむつの替え方などは助産師さんから直接夫が習い、私は動画を取ったりメモを取ったりしていました。
次の日は育休申請の書類提出のために夫は一旦出社しました。私は沐浴指導を受けたり、搾乳のやり方を習ったりして過ごし、会社を早退してきた夫が夕方から合流。沐浴の動画を見ながら、今日習ったポイントを共有したり、ミルクを作ったり、おむつを替えたりしました。困ったら助産師さんにすぐ相談できるので、入院中に夫婦で育児指導を受けることができたのは本当に助かりました。
私が入院している間に夫は家中を掃除したり、子供の布団を洗ったり、ベビーバスの準備をしたりと、子どもを迎える準備を整えてくれていました。

 

退院~2カ月まで

出産から4日目経って退院しました。
会陰切開のあとが痛くてしばらくは座ることが出来なかったので、私は娘の隣で横になっていることが殆どでした。沐浴は夫がメインでやり、私はガーゼを準備したり、着替えをセットしたりと軽くて楽な作業を主にやっていました。
産まれて1カ月経った頃には元気に動けるようになっていたので、夫と娘と3人で保育園の見学に行きました。一人育休を取る夫からすると、子供が待機児童になると自分が育休延長しなければなりません。保活への真剣さは一般の父親とは比べ物にならなかったと思います。チェックリストや相談メモを持って見学に行き、帰宅後に二人で各保育園のメリットやデメリットを洗い出しつつ順位付けして申し込みをしました。
その後の1カ月は、私の仕事復帰を想定して動きました。日中は極力手を出さず(私は遊んだり可愛がるだけ)夫が一人でお世話をすると何が大変なのかを探りました。
例えば哺乳瓶。二人いれば飲んですぐ洗えますが、一人だと子供の世話をしながら洗ったり消毒するのは大変だ、ということになり、本数を増やしました。
昼ごはんはお世話の合間にささっと食べられるものじゃないとダメだとか、疲れたときの間食としてチョコレートを常備したいとか、夫の生活についても二人で考えて対応していきました。

 

一人育休の始まり

生後3か月を目前に私が仕事に復帰し、遂に一人育休がスタートしました。私はその頃Twitterで「ママ垢(アカウント)」の存在を知り、同月齢のママさん達と交流を始めていました。多くの人が旦那さんの愚痴を言っていました。

自分の生活を変えることもなく、家事もやらないし子供の世話もしない。挙句「今日何してたの?(家事が出来てない)」と文句を言う。育児で疲れているのに、労ってもくれない。
一緒に親になったのに、同じレベルで育児が出来ない。育児でいっぱいいっぱいなのに新人教育なんかしたくない。邪魔だし居ない方がマシ。


夫はあまり愚痴を言わない人です。同じようなことを思われるのではないかと怖くなりました。ママさん達の愚痴と真逆を目指そう、と決意しました。
朝起きたらお風呂を洗い、洗濯物をたたんで、掃除機をかけ、朝ご飯と夫の昼ご飯を作り、夕食の仕込みをして家の中を万全に整えてから出社しました。夕方仕事から帰ってくると夫から娘を預かり、夫にフリータイムを過ごしてもらう。娘が寝ている隙に洗い物や洗濯などの家事をして、ごみをまとめたり、おむつやおしりふきの在庫確認をする。夜泣きの対応をして、夫には夜はきちんと休んでもらう。

このような内容をTwitterに書いていると、それはやりすぎ、そんな育休でイクメン気取り(別に気取っていませんが…)されても、みたいな苦言を(ママさん達から!)呈されるようになりました。同じようなことをしている男性は「最高の旦那!」と称賛されていたのに、なぜ私は「夫を甘やかす健気で可哀想な妻」になってしまうのでしょうね…。

しかし実際この生活はものすごくキツかったです。仕事もあるのに夜は寝られないし、家で休憩も出来ない。でもこうでもしないと、日中いない分どうしてもメイン育児者に後れを取ってしまうんです。同じタイミングで親になったのだから、同じくらい育児が出来て当然、家事をして欲しい、休憩させて欲しい、という主張を丸のみすると、このような生活をせざるを得ませんでした。
結局夫の育休終了までこの生活を続け、私は夫と同じ育児レベルをほぼキープ出来ていたと自負しています。(実際には予防接種や健診、親子二人でお出かけなど夫しか体験していないこともあり、全くの同レベルではありませんでしたが…。)

 

育休が終わって

保育園にも無事入園できることになり、6カ月になった娘は保育園に通い始めました。もちろん慣らし保育も夫が対応しました。保育士さんたちの間でも、長期間育休を取っている父親として認知され、皆さんとても気にかけてくれたと思います。
保育園に通い始めると、話に聞いていた通りしょっちゅう熱を出すようになりました。週末に来週の仕事の予定を、前日に明日の仕事の予定を共有し、どちらが呼び出しに対応するかを日々決めるようにしました。育休を取って、職場で「イクメン」と認知された夫は、これまたよく聞く「奥さんは何してるの?」みたいな言葉を聞くこともなく、保育園からの呼び出しに応じることができ、またこれまで予防接種にも連れて行っていたので、子供を病院に連れて行くのも問題ありませんでした。
家事は子供が寝ている間に二人で分担するようになり、私の生活は楽になりました。夫は育休中も仕事関係の勉強をしたり、本を読んだりして自己研鑽をしていたので、仕事にもスムーズに戻れたようです。

私は仕事柄、泊りの出張なども時々あるのですが、夫は(大変だったとは思いますが)特に問題なくクリアしてくれました。夫が育休を取っていなかったらまず任せようとは思わなかったでしょうし、私は仕事の機会を逃してしまっていたと思います。おかげで自分の仕事を全うすることができ、良い評価を得ることが出来ています。
一方で夫が昇進試験を受ける際には私が育児をメインでこなし、無事にクリア出来ました。育休を取ったから昇進できない、という後輩たちの不安を払拭するのに一役買ったのではないでしょうか。

 

夫の気持ち

ところで、妻に交換条件として提示され仕方なく育休を取得した夫はどういう想いだったのでしょうか。
夫は職場に復帰してから、周りの男性に「子供が出来たんだけど、育休ってどう?」としばしば声をかけられるようになり、「子育ては大変だけど楽しい。自分で育てたからこそものすごく可愛い。取れるなら絶対取った方が良いよ!」と伝えているそうです。その結果、夫の職場では男性育休ブームが到来し、夫の後に何人も育休取得者が続いています。
現在私は二人目の子を妊娠中です。次は育休どうする?私も半年くらいは休もうと思ってるけど、と言うと「自分も絶対育休取るよ!」と言って張り切っています。今では、育休を取らない、育児に関わらない人を「もったいない」とすら言うようになりました。自分だって関わる気がなかったのにね…というと、子供がこんなに可愛いって知らなかった!あの時の自分が信じられない!と言います。

 

妻の気持ち

夫は元々「みんな子供がいるし、なんとなく子供が欲しい」だけの人でした。もし単身赴任になっても長期連休の間、年数回子供に会えればいいかな、みたいなことを言ったときは心底ゾッとしたものです…。
そんな夫が毎日娘にご飯を食べさせ、保育園の準備をして保育園に連れて行き、お風呂に入れて、寝かしつけをしています。一緒にブロックで遊び、アンパンマンを見て、一緒にお絵描きをしています。寝ている子供を見て、可愛い可愛いと言い、写真や動画を眺めては嬉しそうにしています。
元々夫のことはとても好きでしたが、今はもっと好きです。子供と過ごした時間、子供の成長のすべてが夫婦の思い出になっていて、二人の絆をより深めている、と日々感じます。

今の夫を見て「いい旦那さん」「イクメン!」と周りの人は言います。そして「そんな人なかなかいないからね!」と運が良かったかのような言われ方をします。でも違うんです。初めからこういう人ではなかったんです。セオリー通り私が育休を取って、夫が仕事をしていたら、間違いなく「役立たず」の夫になっていたことでしょう。

うちの夫は足手まといだから、育児に参加しないで欲しい。

そんな風に思う人が減り、男性が育児の機会を奪われることなく、父親としての権利を放棄することなく、夫婦で幸せな育児が出来る人が増えて欲しいと心から思います。

 

最後に

この記事は、育休を取ることで家事育児が出来なかった父親も変わることができた、という事例を伝えるものであり、育休を取得しない人を非難する意図はありません。(私自身、育休を取得していません。)
また、育休を取得したいと考えるすべての人が育休を取得できる社会になって欲しいとは思っていますが、育休取得を義務化すべきとも思っておりません。(私自身以下略)
家庭によっては、冒頭に引用したtweetにあるように、稼ぐ人と育児をする人に分業し、プロに頼る方が良いこともあるのでしょう。夫婦で納得の上、どんな選択をするかはもちろん自由です。私たちも夫のみ育休というあまり一般的ではない形を取りましたが、私たちの中では結果に満足していますし、誰に非難されるようなことでもないと思っています。

母親は育休を取らねばならない、父親は育休を取ってはいけない
母親は主な育児者でなければならない、父親は仕事さえしていればいい

という決まりはありません。自分たちにとってどういう形が最も幸せに近いのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

 

 ↓Twitterで頂いたコメントに関する返信を書きました。

www.hanataro-handcraft.info